⑤Everything happens inevitably
~全ては偶然じゃない、必然だったんだ!~
*
けたたましい音が脳を揺さぶる。
それが電話の着信音だと気づく前に鳴り止む。
右手を伸ばして、いつもの場所をかき回す。
探していたものを見つける。
電源を入れる。
液晶画面に時刻が表示されて、愕然とする。
これが、時差ぼけか。
イギリスにいたときは時差ぼけなんて微塵も感じなかった。
毎日くたくたになるまで歩いてホテルに戻ると、すぐに睡魔が襲ってきた。
日本でのrecoveryは難しいかもしれない。
一旦海外から帰国してしまうと、私は本当にその場所にいたのかどうか分からなくなる。
そういえば、昔も今も読書が好きなのに変わりはないが、昔はもっとインドアで変なことを考える子供だった。
今、目の前に見えているもの全てが夢で、本当の私はベッドで寝ているんじゃないか。
幼い私は両親にそのことを言いたかったが、うまく伝える言葉を持っていなかった。
小学校の国語の授業だったか、いつだったか忘れたが、そこで<胡蝶の夢>という言葉を知る。
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夢の中で胡蝶(蝶のこと)としてひらひらと飛んでいた所、
目が覚めたが、
はたして自分は蝶になった夢をみていたのか、
それとも今の自分は蝶が見ている夢なのか、
という説話である。
~胡蝶の夢~(Wikipedia引用)
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同じ疑問を持った人がいるんだ!と嬉しくなった半面、
教科書に出てくるような偉人と同じことを考えたなんて、誰に信じてもらえるだろう。
伝える言葉を持たないまま、静かにその気持ちを飲み込んだ。
*
5月4日(月)。
7:30起床。
アラームをかけていたのに起きられなかった。
どうやら昨日の疲れが目覚めを妨げていたようだ。
でも、時間は待ってくれない。
9:00にホテルを出発し、ウェストミンスター駅へ向かう。
10:00到着。
地下から上ってすぐに見えるビッグ・ベン(高さ95mの時計塔)。
対岸にはロンドン・アイ(高さ135mの大観覧車)。
右手にチャーチル像、左手に国会議事堂を見ながら、しばらく進む。
すると、③で登場した運命の女性(以下、Oさん)と再会!
こんなにいっぱい人がいる中で会うなんて。お互い驚きを隠せなかった。
Oさんと別れ、さらに進むと、左手にウェストミンスター寺院、
もう少し進むとウェストミンスター大聖堂が見える。
そこからセント・ジェームズ・パークに行き、中を歩きながら、バッキンガム宮殿を目指す。
11:30から衛兵交代が行われるが、こちらも大人気!
人の波をかき分けて進まなければならない。
なので、私のお目当ては11:20から行われる鼓笛隊の演奏。
これをサクッと見た後、すぐに離脱!
ザ・マル(バッキンガム宮殿を正面に見た長い通り。両サイドを英国旗(?)で飾っている)を通ってトラガルファー・スクエアへ。
背後に見えるナショナル・ギャラリーも時間があったら中に入りたかった。。
そろそろ体が不満を訴えてくる。
大丈夫。ランチのお店もリサーチしてあるよ
マーケットにアンティーク雑貨が並び、広場に大道芸人がいるコヴェント・ガーデン近くのBalthazareへ。
ロンドンに来て、ちゃんとしたレストランでの食事は初めて。
ちょっとドキドキ。
しどろもどろでなんとか、カウンターに着席。
カウンターのお兄さんがオーダーを受けてくれる。
メニューを見る。
全部、結構いいお値段しますねぇ。
時刻は13:20。
ブランチメニューの中から、トーストの上にアボカドとポーチドエッグがトッピングされているのを注文。
その間にお手洗いの場所を聞く。
ん?ドアの向こうの2階に上がって、、、なんでそんな分かりにくいところに作るんだ?!
ドアの手前で親切な男性スタッフが待っていてくれました。
カフェのトイレ休憩は大事です。
必ず行きましょう。
席に戻ると、すでに料理が運ばれていた!!
美味しそう!
注文を受けてくれたお兄さんが黒コショウを上からかけてくれる。
ポーチドエッグに切り込みいれて、トロッと流れる黄身をこぼさないように口に運ぶ。
…あれ、、あ、味がない。。
目の前に置かれてるコショウにそっと手を伸ばす。
フリフリ2回。
もっと塩味が欲しい。
塩もかけようか、いや、せっかく料理してくださったのに色々自分で調整したら失礼ですよね。
我慢して完食。
後で知ったんだけど、イギリスでは塩やコショウなどの味付けは自分で調整するとのこと。
遠慮なくフリフリして良かったんだ!!!
£11.81(サービス料込)は味気ないまま飲み込まれていきました。。
お腹を満たしてから、コヴェント・ガーデンを少し見て回り、チャイナタウンへ。
中華料理のお店が並びます。
通路も広くて歩きやすい。
お米や麺類が食べたくなったら、ここもいいかも。
そして本日1つ目の目玉、大英博物館へ参ります。
こちらも入場は無料。
1階と2階からなる建物は、古代エジプト、アジア、古代ギリシア・ローマなどエリアごとに展示物が異なります。
中に入って驚いたのが、みんな写真を自由に撮っていること。
えっ?!全部、撮影可能??
おもむろにスマホを取り出す。
2時間あれば全部一通り見て回れます。
時間がない方はまず、マップを入手して、行きたいところを決めるのが先!
やみくもに歩くと迷子になります。
というのも、数珠つなぎに部屋がつながっているので、あっちの部屋に行きたいなら、
ここを通ってここまで戻らなければいけないなど、自由に中抜けできないからです。
私はまず、必見の大きな銅像、ラムセス2世にご対面。
その後、ロゼッタ・ストーン、人面有翼の巨像、王のライオン狩り、ポートランドの壺、
ジンジャー(ミイラ)などを順番に見て回りました。
そして、2階で運命の女性Oさんと本日2度目の再会!!
こんなこと、なかなか無いですよね?!(笑)
ロンドンに旅行するにあたり、大英博物館は最も来たかった場所の1つだったから、
十分時間をかけて満喫しました。
歩き回って小腹のすいた私。
大英博物館を出た後、オックスフォード・ストリートを歩いて左に進みます。
事前リサーチしていたカフェへレッツゴー!
ちょっと離れてるけど頑張って歩く。
オーストラリア旅行記を読んでくださった皆さんなら、すでにお気づきですよね?
方向音痴の私が、なぜこんなにも自由にすいすい歩くことができるのか。
何を隠そう、今回は強力なアイテムを入手しています。
今こそ紹介しよう!その名もグローバルwifi!!
おかげでグーグルマップ使い放題。
Wifiくん。
君を手に入れるため、流した冷汗は無駄ではなかった。
遡ること、3日前。
中部国際空港はゴールデンウィークに旅行に行く人で溢れていた。
2時間前に到着した私は、チェックインに1時間待ち。
ポンドの交換に20分待った。
慌ててwifiを受け取りにカウンターに行くと、予約時のメールを見せてほしいとのこと。
出力していたwifi受け取り場所の紙をカウンターに置き、急いでスマホを操作。
早く画面表れろ~!!
すると、何気に私が机の上に置いた紙を見ていた女性店員さん。
女性店員:これ、ご自分で出力されたんですか?
私:はい。
女性店員:これは他社ですので、カウンターもこちらではありません。
私:えっ?!
女性店員:場所はまず、上ってきていただいたスロープを下りて、外に出て…
私:(地図を見せながら)今ここがここで、こう見ててどう行ったら良いんですか??
男性店員に代わる。
男性店員:こちらをまっすぐ行っていただいたらすぐです。
私:もう、搭乗時間始まってるんですけど、何分で行けますか???!
男性店員:(ちょっとびっくりした顔をしながら)1分です!
私:ありがとうございますっ!!!
危うく、日本から出国できないところでした。
グーグルマップはカフェ周辺を表示している。
店名を確認。ここ?かな??
中に入ってみる。
あれ?カフェというよりレストランっぽい。。
腰にエプロンを巻いた男性スタッフが案内してくれる。
男性スタッフ:おひとりですか?
私:はい
男性スタッフ:どうぞこちらへ。メニューはこちらです。
…何かが違う!
私:すみません。どうやらお店を間違えたみたいです。このカフェに行きたいんですけど。。
スマホでお店のHPを表示して、アドレスを見せる。
男性スタッフ:多分、この通りを行って左に曲がって、kingly courtの2階のお店だと思います。
私:ありがとうございます!
もう少しで、スペイン料理を食べるところでした。
周囲を注意深く見渡し、男性スタッフが説明してくれた方向へ。
Kingly courtを発見!中に入ると、円形のフードコートみたいになっていた。
階段を上がり二階へ。左手にお目当てのお店、Camellia’s Tea Houseを発見!!
ら、ラブリー♡♡♡乙女心急上昇!(笑)
店内は満席。
かろうじて大人数掛けのテーブルに案内される。
キュートな女性店員さんがオーダーの仕方を説明してくれる。
こちらはレジに注文を言いに行き、事前会計とのこと。
心はすでにcream teaに決まっていた。
スコーン2個と、ポットでサーブされる紅茶のセット。
こちらのカフェでは数ある紅茶の中から自由に葉っぱが選べます。
紅茶にそれほど詳しくない私はオーソドックスなものをチョイス。
お隣さんの英会話に聞き耳立てつつ(←失礼)、運ばれるのを待つ。
少しして運ばれてきた!
可愛らしい食器においしそうなスコーン!
もちろんジャムとクロテッドクリーム付。
こちらは£7.95。
お店を出て、すぐ近くにあるLIBERTYへ。
LIBERTYグッズって何も持ってないんだけど、記念にと寄ってみた。
中に入る。可愛い!!値札ちらっ。可愛くない!!!(笑)
早々に退散。
時間は18:00。
ちょいと、腹ごしらえしときましょうか。
このあと、本日二つ目の目玉が待ち構えています。
オックスフォード・ストリートを戻りながら、行きで見つけた<wasabi>に入る。
こちらはロンドン生まれのお寿司屋さんです。オーナーは韓国人???
お米に飢えていた私は、ここでお寿司セットを購入。
£4.79とリーズナブルでした。
まぁ、日本で買うより高いですけど、味は日本のスーパーで買うのと大差なかったです。
時刻は18:30。
いよいよ行きますか。
ロンドンで見る、初めてのミュージカル!
今回、旅行会社の特典で付いてたオプショナルツアーを別にして、私個人で申し込んだものが2つ。
そのうちの1つが本日のミュージカル“ミス・サイゴン”。
19:00チェックイン。
バウチャーを見せてチケットもらう。
19:30開演。
席に着き、開演を待つ。
右隣に1人の女性が着席。待ち時間が暇だからガイド本を取り出す。
すると声をかけられた。
女性:日本人ですか?
私:はい。あなたは?
女性:韓国人です。あなたは学生ですか?
私:いえ、社会人です。観光で来ています。
女性:私は仕事で来てるんですけど、時間が空いたので、ミュージカルを見に来ました。
しばらく雑談。思い切って聞いてみる。
私:英語お上手ですね。どうやって勉強されたんですか?
女性:個人的にっていう意味?学校で一通り勉強してきたよ。
私:日本では中学・大学と英語を勉強してもなかなか、あなたのように流暢に話せるようにはなりません。
女性:日本人はシャイだからね。韓国ではみんな恥ずかしがらずにどんどん話してるから上達するんだと思う。あなたの英語はbetterだよ。そして、あなたは外国人なんだから、流暢に英語を話せる必要はない。周りが分かってくれる。
彼女の言葉が終わると、大音響ととともに、舞台の幕が上がった。
途中の休憩をはさみ、ミュージカルは定刻通り、22:15に終了。
隣の女性と顔を見合わせ、口々に賞賛の言葉を述べる。
ダンス、音楽、舞台演出、全てが素晴らしかった。
正直、セリフの全部は分からなかったけど、事前にあらすじをチェックしてあったから、展開は理解できた。
劇場を出ると、雨が降っていた。夜も遅い。
隣の女性に別れの挨拶を。
ここで初めて自己紹介。
彼女の名前はミシェル。
韓国人だからEnglish nameなのかな?
ミシェル。私はまたあなたに会って、もっと話がしたいよ。
次は私にとってのbestな英語で。
伝える言葉と意志がないなら、どれだけ英語を流暢に話せても仕方がない。
だって英語は道具にしかすぎないから。
これは通訳をしていた長井鞠子さんの著書にも書かれていた。
飲み込む想いがあるなら、きっと、私は、英語を話すことができる。
さぁ、ホテルに戻ろう。
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